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産学連携と中小企業 社会・地域貢献に動き出す大学
多孔質セラミックスをアロマセラピーに活用 【examiner(イグザミナ) 2003年10月号 雑誌掲載】

「何か商売のヒントになるものがつかめれば・・・」。東大阪市のゴムプレス成型品製造および環境・健康・癒し関連商品を企画販売するアドバンスの安田昭雄会長は、そんな思いで大東市の大阪産業大学が開いている大学サロンに足を運んだ。二年ほど前のことだ。
そこで多孔質セラミックスをプレゼンテーションした山田修教養部教授と出会う。多孔質の梅白炭スティックでおいしい水づくりに取り組んできた安田さんは、多孔質体を使った水の浄化について相談したのを機に山田教授の研究室に出入りするようになった。そして共同研究で「アロマチップ」を製品化、この六月から商社経由と自社の販路で販売を始めた。
アロマチップは山田教授が開発した多孔質チタンセラミックスのペレットに処方した精油(アロマオイル)を二、三滴しみ込ませ、その香気をかいだりする健康・美容のための芳香療法(アロマセラピー)。
安田さんが、内部が親油性、表面層が親水性の多孔質セラミックスであれば、しみ込ませたアロマオイルの蒸散が抑えられ香りが長期間持続し、アロマセラピーに活用できるとアイデアを出したことから製品化、
アドバンスに販売をオーエスユーが委ねることになった。
アロマチップは花粉症、不眠症、高血圧、ストレス、風邪、肉体疲労の六種類を処方する。希望小売価格は一種類でアロマオイル三回分、ペレット(多孔質セラミックス)一個などをセットし三千五百円。現在、同社では東急ハンズや車のコインホルダーにセットできるため自動車メーカーの販路などを開拓中だ。

応用研究をやっていれば「産学連携は当たり前」

山田教授の専門分野は無機材料科学。その中でもセラミックスを使った燃焼合成を追求、半導体や電子分野まで視野に入れたニューセラミックスの開発に取り組んでいる。「共同研究をはじめとする産学連携は二十年ほど前から取り組み、すでに企業数はかなりの数にのぼっています」と山田教授。先駆的に取り組んできたことがわかる。その理由として「応用研究をやっていれば産学連携は当たり前」という考え方によるもの。大学は教育と研究だけでなく、社会・地域貢献も大事という思考も産学連携を進める土壌となった。
アロマチップの共同研究は、山田教授と大学が折半出資した大学発ベンチャー「オーエスユー」がペレットを研究室で製造。
アドバンスはその供給を受けて製品化、そして総販売元になり販路を開拓。大学はアロマオイルの効果や持続性の測定、改良を受けもつ。一般的な商売と同様、アドバンスはオーエスユーに仕入れ分を支払うだけ、売り上げの何%かをオーエスユーに支払う契約はない。
山田教授は「産学連携もまだ教員仲間の理解が完璧ではないと感じます」といい、十五年前に特許を出願したら「教師の風上にもおけん」と言われたと振り返り、「逆境に耐えてここまできた」と苦笑する。中小企業との連携については「まず、何をつくるのか具体的なテーマを決めて着手することが大事。しかも市場性があって高付加価値があるもの。この方向で進めれば、うまくいくと思っています」。

 
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