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東大阪が熱い!大学から生まれる次世代ビジネス/人材育成に真価が
今日まで大学の2本柱は「教育」と「研究」であったが、21世紀に入り大学を取り巻く環境は激変した。多くの大学で蓄積した研究開発成果や社会貢献とか地域への還元、あるいは地域に開かれた大学ということが叫ばれるようになった。国では科学技術基本法が制定され、総合科学技術会議が創設された。この中では科学技術創造立国を目指して2001年3月に第2期科学技術基本計画が閣議決定された。 【日本物流新聞 2005年1月1日(土)】

・世界最高水準の科学技術創造立国の実現 ・政府研究開発投資の拡充 ・世界最高水準の科学技術の実現(ノーベル賞受賞者を50年で30人) ・科学技術の戦略的重点化(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の重点4分野) ・競争原理の促進(競争的研究資金を5年で倍増) -を挙げている。また産学官連携の推進を積極的に押し進めると供に地域科学技術の振興として産学官による大学発ベンチャー(5年で1000社)構想や、中小企業の技術開発に加えて地域クラスター構想も述べられている。
一方、大阪産業大学での「産学官連携」の取組は、そのような国の施策に沿う形で数年前から始めたわけではない。数十年の長い取り組みの結果、紆余曲折を経て、最も良いと思われる形になりつつある。すなわち、「教育」「研究」「産学官連携」の3つの柱がお互いに独立して歩むのではなく、連携することで相乗効果を生み出すことが分かってきた。例えば本学には学生社長のベンチャーが設立されている。彼らは、学生として大学で「教育」を受ける一方、そのベンチャー企業が主催する講習会では社会人受講者相手に「教える」立場も経験する。我々はこれを「共・育」と名付けており、学生が学ぶ立場と教える立場の両方を経験する事によって、いかに教えることが難しいか、あるいは教えるためには狭い範囲の知識だけを知っているだけでは通用しないことを、身をもって経験するのである。すなわちTeaching is learning を実践することで、なぜ学ぶ必要があるのかといった教育の本質的な問題まで含めた答えを教員側が一方的に押しつけるのではなく、学生自らが体験を通して会得するのである。これからの大学のあり方の一つとして、大学が学生に教育するといった一方通行ではなく、学生に「共・育」の機会を提供することを主体にする大学が出てきても良い時期だと考えている。以前に実施された大手企業103社CTO(最高技術責任者)に対するアンケートにおいて、日本の研究開発環境の競争力に関する質問で、83.4%が「学生の教育体系に課題がある(あるいは劣っている)」と回答し、「良い」とこたえた企業は0%であった。なかでも多くの企業が「即戦力になる知識・技術を持った学生確保が困難」と答えている。
これを改善するためにはどのような方法が適切であろうか?-個の問題に対して、大阪産業大学が出した答えの一つが大学発ベンチャーの創生である。(株)オーエスユーは、学校法人大阪産業大学と教員の出資により設立した閣内初の純大学産ベンチャーである。大学関係者だけの出資に限定することで、営利を第1目的にしない社会企業(Social Company)を理念に、大学の有する知的財産の社会的還元や、開発途上国を含む全世界へ目に見える形での具体的な技術援助、21世紀を担うアントレプレナーシップ(起業家精神)を有する人材育成の場となるよう活動している。2000年の設立当初は新素材に関する研究開発成果を駆使して大学と企業間の橋渡しをする「技術インキュベータ」というハード的役割を担う目的で設立したが、出資した大学自体が積極的にバックアップする純大学産ベンチャーの特性を活かして、学生に対して大学と異なる実践教育の場を提供する「人材インキュベータ」にも取り組んでいる。すなわち、大学発ベンチャーを学生が利用して、学生自身が製造したものが商品となることで深い感動を生む、学生の起業家精神の育成、卒業生や社会人に対する再教育の場として機能などの効果を生み、最終的に学生の勉学へのモチベーションを高める効果をもたらし、人材育成という大学が果たす社会的役割において益々重要な位置付けとなっている。より多くの卒業生が企業や社会において、21世紀を担うアントレプレナー型エンジニアとして活躍することを願っている。
教育はビジネスになじまないというのが通説になっているが、それでも特区構想から株式会社○○大学が日本に誕生した。次世代に対応した発想力や想像力を有する人材育成はどうするのが良いのか、大学もその教育力や変革力などを含めて、社会が本当に大学を必要としているのか、その真価と存在意義が問われている。大学から生まれる次世代ビジネスは、バイオやナノテクなどに代表される先端技術でなく、むしろ今までの教育を根本から変えるようなプログラムを用いた人材育成であるかもしれない。

 
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