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30年来の夢を実現し、起業準備に奔走中
「本当は大学院に進みたかった」。31年前の大学卒業当時の思いをこう回顧する大岩武博さん(54歳)は2004年4月、大阪産業大学工学研究科アントレプレナー専攻に入学した。「経済的な理由から大学院進学を断念し、社会に出て30年。捨てきれなかった夢に挑戦してみたいと思ったのです。それに起業家を目指すプログラムの内容や家から1時間以内で通学できる立地条件もよかった」。これが歳50を越えてチャレンジに踏み切った理由だった。 【日経 大学・大学院ガイド 2004年秋号】

【月曜から土曜まで、12時間を研究室で】
新聞広告で大阪産業大学大学院のことを知り、入ることを決意した当時、大岩さんは油圧空圧器の商社でセールスエンジニアをしていた。「一度は働きながら勉強できないかと考えましたが、どっちつかずになるのは避けたいと思い」、「修士課程の2年間を支える蓄えもあり、今なら自分で責任がとれますから、辞めることに不安はなかったですね」と大岩さんは言い切る。
大学院生になってからは生活はガラリと変わった。月曜から土曜まで12時間を大学の主に研究室で過ごす。
大岩さんが掲げるテーマは3つある。30年の営業技術畑で培ったキャリアを活かした「油圧機器を利用した自動機械の設計・製作」「高機能セラミックスの研究開発および製造販売」そして「大学研究シーズの紹介」である。これらはそのまま、起業する会社の業務内容にする予定だ。「講義は出来るだけ多く受けるつもりですが、まず前期は表面処理、システム工学などで、設計や強度計算を中心に習っています。機械の設計図を引く場合、強度を無視して構造だけ描くと、実際の機能とかけ離れていくことがありますからね」と、履修科目にも起業に照準を合わせて選択した。
理工学部出身だが世代的な事情もあり、コンピューターは大きな壁となった。「実業家で第2創業を狙っている70歳代の同級生と一緒に、機械工学の1回生が受ける基礎講座でワードとエクセルの基本操作を習っていますが、何とか2カ月間で若い皆さんに追いつけました。当初は苦労しましたが、パソコンが使えないと仕事になりませんから・・・今は起業準備の報告書などにも使っています」というまでに上達した。
【アントレプレナーへ事業開発を実体験】
現在「高機能セラミックの研究開発および製造販売」の事業化プロジェクトに奔走中だ。「製品パッケージのデザインの打ち合わせから取扱説明書の作成などにも関わっています。この製品は、山田修教授が研究されている燃焼合成セラミック多孔質体を応用した銀イオン水『大銀穣(だいぎんじょう)』と命名され、消臭・抗菌剤として販売することが決まりました。7月に大阪と神戸の東急ハンズで販売キャンペーンを展開したときは、私もアテンド役として商品説明をしました」。何事も実践という姿勢である。
大阪産業大学は大学初のベンチャー企業を設立したことでも有名だ。その第1号企業「(株)オーエスユー」の社長を兼務する研究開発センターの山田教授や販売元企業となる
アドバンスを師に、大岩さんは商品化プロセスを学んでいるわけだ。「私のようにゼロから出発する者にとっては、新規事業を進めていくプロセスに参画させてもらえるのは貴重な経験です。これがなければ、製品をどう販売していいのか分からず、ウロウロするばかりですから」と大岩さんは満足気に微笑み、「もう次の製品化プロジェクトが決まっていて、休む暇がありません。講義が休みになる夏休みは、びっちりと勉強、実地研修に充てるつもりです」といって、起業をめざす目を輝かせてた。

 
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